eMAXIS Slimシリーズの信託報酬引き下げとベンチマーク変更

190419eMAXIS Slimシリーズの信託報酬引き下げとベンチマーク変更 インデックス投資
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なまずんです。

インデックス投資家から支持を集めるファンドシリーズ「eMAXIS Slim」を擁する三菱UFJ国際投信が,4月18日に2件の発表を行いました。

発表の内容は以下のとおりです。

  • 低コストファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の信託報酬率の引き下げ
  • 各種インデックスファンドのベンチマークを配当込みに変更

いずれの改定にも,インデックス投資を取り扱う個人ブロガーには歓迎の声が上がっています。

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eMAXIS Slimシリーズの何が変わったか

変更について,2件のニュースの要点をまとめます。

信託報酬を引き下げ

変更されるファンドは以下の4つです。

ファンド名 変更前 変更後
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) 0.155%以内 0.140%以内
eMAXIS Slim国内株式(日経平均) 0.155%以内 0.140%以内
eMAXIS Slim先進国債券 0.170%以内 0.140%以内
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 0.159%以内 0.140%以内

信託報酬は全て税抜表示です。引き下げは2019年5月14日から実施されます。

eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストをめざし続ける」とのコンセプトを掲げています。実際に,これまで他社の類似ファンドの信託報酬の引き下げにピッタリとそろえて信託報酬を引き下げてきました。

今回の引き下げは,2019年4月11日に発表された野村アセットマネジメントの確定拠出年金向けファンドの信託報酬引き下げに対抗するものと見られます。バランスファンドの中身は異なるものの,国内株式(TOPIX)と先進国債券クラスは同じ指数に連動するファンドです。野村アセットマネジメントの発表からわずか一週間で,対抗する姿勢を見せてきました。

今回の三菱UFJ国際投信の発表で画期的だったのは,「他社類似ファンド」の定義を広げると明記したことです(三菱UFJ国際投信プレスリリース,2019年4月18日)。

運用コスト見直しに係る『他社類似ファンド』の範囲を,『個人型確定拠出年金(iDeCo)にて採用されているファンド』にまで拡大します。この結果,『他社類似ファンド』の定義は,『公募投資信託(ETF および企業型確定拠出年金のみで取扱いのファンドを除く)』となります。

SBI証券セレクトプランなど,eMAXIS SlimシリーズをiDeCoにラインアップする金融機関もあります。iDeCo向けファンドも意識するとの宣言は,iDeCo向けにもeMAXIS Slimを売り込んでいきたいとの三菱UFJ国際投信の思惑があるでしょう。より広い範囲のファンドの信託報酬引き下げに対抗するとのことで,今後の動向にもさらに期待できるようになりました。

ベンチマークを配当込みへ

もう一つの発表は,三菱UFJ国際投信のインデックスファンドシリーズ「eMAXIS」「eMAXIS Slim」などのベンチマークを「配当除く指数」から,「配当込み指数」に変更するといった内容です。国内外ファンドが対象で,海外株式・海外リートファンドは基本的に現地課税を考慮するネット(課税後)指数に連動するようになります。これまで,三菱UFJ国際投信の主要なインデックスファンドは配当除く指数がほとんどでした。

ベンチマークが変わるとの発表は衝撃ですが,三菱UFJ国際投信は過去に,実質的な運用は配当込みの指数に連動するように行うと明言しています。ですから,運用の内容,つまりリターンに今回の発表は何ら影響しません。また,今回の変更に伴う手続きもありません。

配当除く指数をベンチマークにする限り,時を経るごとに見かけ上は乖離が発生することになります。「インデックスファンドなのにインデックスとの連動がわかりにくい」という事態が発生するのは明快さの観点から良くないので,この改定に私は歓迎です。投資信託を購入する大半の人から,この変更は支持されるものと推測します。

2019年7月から,順次変更するとの発表です。

「eMAXIS Slim」のすすめ

「eMAXIS Slim」シリーズはつみたてNISAの登場に先立つ2017年2月に登場し,業界で最低水準の低コストを売りに投資家から支持を集めてきました。今回の信託報酬の引き下げでは,信託報酬で対抗するファンドの範囲をさらに広げると発表し,シリーズのアイデンティティをさらに固めた印象です。ベンチマークの改定も含め,投資家の心をつかもうとする三菱UFJ国際投信の姿勢を強く感じます。

2019年4月4日には全11ファンドの合計純資産額が1200億円を突破したと発表されています。かなりのスピードで資金流入が続くことからも,幅広い投資家から支持を得ているファンドシリーズと言えるでしょう。

旧来存在するファンド「eMAXIS」の保有者に対しては信託報酬を引き下げず,「eMAXIS Slim」シリーズも自社からは積極的に低コスト化を進めない三菱UFJ国際投信の姿勢には多少の不満があるものの,徹底した他社への対抗戦略により,「eMAXIS Slim」の投資対象商品としての安定感は群を抜いてきました

「eMAXIS Slimシリーズなら,ひとまず安心」という位置付けで,投資対象として他人に薦めたいファンドシリーズであると私は考えます。実際に,私も投資信託の買付額の半分以上はeMAXIS Slimシリーズです。

投資信託のさらなる低コスト化には複数ファンドの競争が欠かせません。今後,競合他社が新たな手を打ってくるかどうかについても注目したいと思います。

◆私が2019年4月時点で定期的に積立投資しているファンドの一覧です。

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