1週間ほど前の話題ですが,三菱UFJ国際投信のファンドシリーズ「eMAXIS」の純資産総額が合計で1兆円を突破しました。2021年1月8日にプレスリリースが出ています(図はプレスリリースより)。
シリーズ合計で5000億円を突破したのは2019年12月でした。それから1年足らずで2倍になっています。
2018年からの急上昇がすごいですね。人気も絶好調なシリーズです!
過半数のファンドは売れていない
eMAXISシリーズは60本のファンドからなります。しかし,そのすべてが売れているわけではありません。
純資産総額の分布を示してみたのが以下のグラフです。1兆円もの資金が入っているファンドシリーズでも,純資産総額が300億円を超えるファンドは9本にとどまります。
純資産総額が1000億円を超えるファンドがある一方で,過半数の36本は純資産総額が50億円を下回る小規模なファンドです。
「eMAXIS」シリーズならどのファンドでも鉄板! みんな買っているから安心……というわけではありません。購入するときはしっかり判断しましょう。
純資産総額の上位5つを独占「eMAXIS Slim」シリーズ
それでは,どのファンドが1兆円もの純資産総額に貢献しているのでしょうか?
純資産総額の大きい順に並べると,上位5ファンドで全体の6割を構成しています。なかでも「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は2018年7月の設定から1年半で,「eMAXIS」シリーズの4分の1を占める超人気ファンドとなりました。
これらのファンドは競合する同種の低コストインデックスファンドと比べても純資産総額は最大規模です。類似するつみたてNISA対象ファンドのなかで,純資産総額を比較しました(純資産総額は1月15日時点)。
米国株式 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 2456億円(1位) |
楽天・全米株式 1845億円(2位) |
先進国株式 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式 2291億円(1位) |
eMAXIS Slim先進国株式 1561億円(2位) |
全世界株式 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 876億円(1位) |
楽天・全世界株式 677億円(2位) |
8資産均等型 | eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 743億円(1位) |
つみたて8資産均等バランス 342億円(2位) |
新興国株式 | eMAXIS Slim新興国株式 506億円(1位) |
eMAXIS新興国株式 374億円(2位) |
◆類似するファンドとしての分類は当ブログの以下の記事を目安としています。
新興国株式はSlimでないほうのeMAXISが2位につけるなど,eMAXISシリーズの独壇場です。
先進国株式もじりじりと<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式に迫っているため,数年以内には1位になるかもしれません。
1兆円の7割が「eMAXIS Slim」
先ほどのグラフからも推測できるとおり,「eMAXIS」シリーズのうち売れているのは低コストが売りのサブブランド「eMAXIS Slim」シリーズです。全体の7割がeMAXIS Slimシリーズでした。
全60本のうちeMAXIS Slimシリーズは13本です。シリーズの設定も2017年2月からでした。
冒頭のグラフで2018年から急に純資産総額が増え始めたのは,そのほとんどがeMAXIS Slimの人気によります。
低コストファンドだけが支持されている事実
これらの結果からわかるように,「eMAXISシリーズで1兆円を突破!」というニュースの裏側には,「eMAXIS Slimシリーズだけが大人気!」という事実が隠れています。
そしてeMAXIS Slimシリーズとその他のファンドの最大の違いは,eMAXIS Slimシリーズのコンセプトである「業界最低水準の運用コスト」をめざすというコスト意識です。
インデックスファンド選びはコストが最重要です。これを多くの投資家が自覚し,投資先を選んできた結果が「eMAXIS」シリーズ全体ではなく,「eMAXIS Slim」シリーズの人気に明らかに現れています。
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