なぜこんなに売れるのか――「eMAXIS Slim」シリーズが合計で純資産総額3兆円を突破!

証券会社・運用会社
この記事は約5分で読めます。

2022年8月9日の三菱UFJ国際投信のプレスリリースで、超低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の合計純資産総額が3兆円を突破したことが発表されました。

これによれば、8月8日に「eMAXIS Slim」シリーズ全13ファンドの合計の純資産総額が3兆円を超えたようです。

スポンサーリンク

2兆円突破から8か月で3兆円に

下図のように、「eMAXIS Slim」シリーズへの資金流入はすごい勢いで続いています(図はプレスリリースより)。

eMAXIS Slimシリーズ3兆円

2017年2月の設定当初は4ファンドで、それからしばらくは増加のペースはゆっくりとしたものでした。

ただ、2020年ごろから「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が大当たりして、1兆円→2兆円と2兆円→3兆円はわずか8か月での到達となりました。この2つのファンドは業界全体でみても資金流入が大きく、2022年7月には米国株式が1位、全世界株式が2位だったそうです。

ちなみに図の2020/2/27の直後の小さな谷がコロナ・ショックですが、このあたりから資金流入が爆発的に増えました。

コロナ・ショックの谷が目立たなくなる程度に資金が流入し、その後もどんどん資金流入が増え続けている状況です。

なお、純資産総額は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が約1兆4200億円、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が約6,300億円とこの2つで2兆円を超えます。この2つが圧倒的に売れているということですね。内訳を円グラフにしてみました。

eMAXIS Slimシリーズの内訳

なぜここまで売れているのか?

「eMAXIS Slimシリーズがなぜここまで売れているのか」を考えてみると、おもな理由は4つあるように思います。

1つ目は、シリーズのコンセプト「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というもの。これはつみたてNISAの非課税枠を使うときにピッタリのものでした。

NISA制度ではファンドの乗り換え(スイッチング)ができず、1回売却したらそこで非課税運用が終了してしまいます。しかし、これまではほとんどの運用会社のインデックスファンドが信託報酬を下げるときは、既存ファンドの信託報酬を下げるのではなく、新商品を販売する方法がとられていました。

これでは旧来のファンドのコストは高止まりしたままですが、非課税運用のためには旧商品を持ち続けなければならない……という状況になってしまいます。つみたてNISAは20年間非課税運用ができるので、最低水準のコストに常に更新していくと明言しているこのファンドが選ばれることになりました。

なお、課税口座で運用する場合には売却して新商品に買い替えることもできますが、利益が出ていれば課税されてしまうため、同様に「eMAXIS Slim」シリーズの設計に優位性がありますね。

実際、2018年ごろには各社のファンドの信託報酬の引き下げ競争が勃発しましたが、「eMAXIS Slim」シリーズはこれに追随して信頼を勝ち得ています。

しかし日経平均株価に連動する「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」はいつまで経っても最低に追随しないという状況なので、シリーズでもあまり売れてないファンドは力の入れ具合が違うのかもしれません。

【2022年12月】日本株式インデックスファンドのリターン比較とおすすめ【リターン・信託報酬・実質コスト・純資産総額の一覧】
この記事は2022年版です。最新版は以下のページからどうぞ。 つみたてNISAの対象商品には、38本の日本株式インデックスファンドがあります。 しかし、同種のインデックスファンドで...

2つ目は、米国株式と全世界株式のファンドを投入したことです。この2つで純資産総額2兆円を超えていることからわかるように、いま大人気です。インデックス投資家にもいろいろいますが、「米国株式のみ」の人と「全世界株式」の人が多いので、これに対応した最低コストのファンドを投入したことは優位性につながりました。

3つ目は、役員・社員が積極的に個人投資家へ宣伝していること。これが信頼をつかんだのではないでしょうか。不定期に開催されているブロガーミーティング(セミナー)や、個人投資家が開催するイベントにも積極的に協力してくれたことから、発信者にとっても勧めやすく、口コミ的にも評判が高まったように思います。

4つ目は、コストが安いだけでなく、運用に問題がないことです。そのため、低コストな分、投資家に高いリターンをもたらしてきました。毎月、さまざまなファンドの運用状況を確認していますが、「eMAXIS Slimシリーズ」は総じて高いリターンを記録しています。

【2024年3月】最新ファンド比較記事一覧
当ブログではNISAつみたて投資枠対象のインデックスファンドとアクティブファンドのリターン・信託報酬・実質コスト・純資産総額などを一挙に比較しています。 最新情報を毎月更新。 「本...

国民的な投資ツールになってきた?

しかし3兆円というのは結構な金額です。日本に在住する成人1億人で単純に割れば1人3万円、もちろん全員が買っているわけではなく(そして投資家全員が買っているわけでもないので)、仮に日本人の15人に1人が買っているとすれば1人45万円を持っている…というような計算ができます。

周りに言ってないだけで、「eMAXIS Slim」シリーズを持っている仲間は身近にもたくさんいると思いますよ。

すでに「eMAXIS Slim」シリーズは国民的な投資ツールになってきたと言ってもいいのではないでしょうか。

わが家でも積立投資の主力ファンドは「eMAXIS Slim」シリーズで、2022年7月末時点で計算してみたところ約755万円を保有していました。

全3兆円の0.00025%ほどを持っていることになってます。

今後も4兆円、5兆円……と運用規模はどんどん大きくなっていくのではないかと思います。米国のETFは単体で10兆円を超える規模のものもありますが、国内投信のトップと言ってもいい「eMAXIS Slim」シリーズにも頑張ってもらいたいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました