なまずんです。
あろうことか体調を崩して寝込んでいた令和最初の平日(2019年5月7日)に,世界最大級の資産運用会社バンガードからうれしいニュースが飛び込んできました。それがこちら。
米国時間2019年4月26日付でバンガード社の運用するETF9本の経費率を改定し,削減するというものです。
ETFの経費率の前後比較
ティッカー | 名称 | 経費率 (改定後) | 経費率 (改定前) |
---|---|---|---|
BND | バンガード・米国トータル債券市場ETF | 0.035% | 0.05% |
VEA | バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETF | 0.05% | 0.07% |
VO | バンガード・米国ミッドキャップETF | 0.04% | 0.05% |
VOO | バンガード・S&P500 ETF | 0.03% | 0.04% |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | 0.03% | 0.04% |
VTV | バンガード・米国バリューETF | 0.04% | 0.05% |
VUG | バンガード・米国グロースETF | 0.04% | 0.05% |
VV | バンガード・米国ラージキャップETF | 0.04% | 0.05% |
VXF | バンガード・米国エクステンデッド・マーケットETF | 0.07% | 0.08% |
長年投信ブロガーを続ける水瀬ケンイチさんによれば,バンガード社は運用資産残高や運用コストなどに応じて経費率を変動させるスタンスを一貫して続けています。
実際に,運用資産残高が伸び続けることを背景に経費率は年々下落してきました。例えば全世界に投資できるVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)では経費率を0.14%→0.12%(2017年)→0.11%→0.10%→0.09%(2019年)と,業界で最低水準の数値をさらに切り下げています。VTに限らず,他のETFも概ね同じ傾向です。
(2019/05/09追記)
米国株日本株投資ブロガーのずずずさんがバンガードの低コストインデックスファンド計32本の経費率について,2016年以降の推移をまとめています。この数年でも低コスト化が大きく前進しました。
今回は米国株に広く投資できるVTI(CRSP USトータル・マーケット・インデックス)や長年投資対象として人気の高いVOO(S&P 500),米国の債券市場に広く投資できるBNDなどの経費率が下がりました。
人気があり,資金が集まるETFほど経費率が下がるバンガード社の姿勢は,経費率は低ければ低いほど良いとする投資家にとって好ましいものです。
楽天VTIのコストが下がる
バンガード社のETFの経費率が下がるとはいえ,つみたてNISAで投資するような日本の小口投資家にとって海外ETFの購入は少し敷居が高い場合があるでしょう。つみたてNISA対象の投資信託にはVTIを組み込む「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド;楽天VTI)」があり,一般的なサラリーマン投資家にはこちらのほうが影響が大きいかもしれません。今回の改定によりコストに影響が出るからです。私は楽天証券iDeCoで楽天VTIを買い付けているので,VTIの経費率削減はうれしいニュースとなりました。
楽天VTIの運用コストはVTIの経費率を含むため,今回の改定により楽天VTIは単純計算で0.01%のコスト改善が見込まれます。ETF経費率を含む実質的な信託報酬は税抜で0.160%→0.15%に,その他コストを含めた実質コストも同じだけ減少すると推定されます。
ベンチマークが異なるものの,同じ米国株式クラスで最低水準の信託報酬0.160%(税抜)で並んでいた「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりわずかに信託報酬が安くなることとなりそうです。
参考 【つみたてNISA対象】インデックスファンド比較・一覧【信託報酬,実質コスト,純資産総額など】――米国株式
同じクラスのファンドに対して徹底して最低水準の信託報酬を設定してきたeMAXIS Slimシリーズが,今回のバンガード社のETF経費率改定による楽天VTIの低コスト化に対抗してくるかどうか楽しみです。
なお,余談ですがバンガード・インベストメンツ・ジャパンのウェブサイトからメールアドレスを登録すれば,日本語で日本向けのニュースを受け取ることができます(「ニュースレターの新規登録」から)。ある程度大きなニュースを不定期配信でメールが届くのは月に1~2回程度。投資家にとって有用な情報が含まれているのでおすすめです。
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