2019年に購入した金融商品で,最もよかった銘柄を決めるとしたら何でしょう。また,「購入して最もよかった銘柄」を決める判断基準は何でしょう。
戦略を持って,自ら投資を実践する投資ブロガーがお届けするリレー連載「ベストバイストック2019」(企画者:ななしさん,氷河期ブログ管理人)は,個別株・投信などのジャンルを超えた個人投資家の思いの詰まった企画です。
昨日はFP1級資格を持ち,金融機関に所属しない独立した見方で金融知識を広めるミサキさんでした。
私は本日の担当です。以下の企画趣旨のもと,執筆しています!
せっかく投資ブログを書いているのだから,2019年に購入した金融商品で一番良かったものを書きたいし,ブロガーさんの記事も読みたい。
年の締めくくりとしてドヤ顔で記事を書きましょう! というイベントです。
つみたてNISAという国策を背景に国内外の株式インデックスファンドが純資産残高を積み上げ,「グローバル3倍3分法」などの新しいファンドが人気を呼んだ2019年。
ベストバイストックとして,私が紹介したいのは,「<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド」(以下,ニッセイJリート)です。
本記事では,2017年11月から積立投資しているニッセイJリートを私がどう見ているかと,他社の日本REITファンドを含めて比較しながら,選んだ理由と注意点をまとめたいと思います。
高いリターンをもたらしたニッセイJリート
本ファンドを選んだ理由は明快です。
2017年に積立投資を始めて以来,ニッセイJリートは,高いリターンを私にもたらしてくれたからです。2018年後半から始まった上昇相場は,2019年終盤まで続きました。
購入し始めた当初はこんなに上がるなんて思ってもいませんでした。よい意味で裏切られたということで,ここで記事にしたいと思います。
保有ファンドのなかで最も高い損益率
当ブログを読んでいただいている方はご存じの通り,私の資産運用の中核をなすのはインデックスファンドの積立投資です。
現在の積立設定では,日本株式,日本を除く先進国株式,新興国株式,日本REITの4つに投資をしています。日本REITクラスに投資する手段として,ニッセイJリートを購入しています。
ニッセイJリートを購入し始めたのは2017年11月からです。下の図の赤線部分から積立投資を開始しました(図はモーニングスター ニッセイ Jリートインデックスファンドより)。
とくに2019年の上げ方には驚きました。2019年末の終わりになって少し下落したものの,購入開始以来右肩上がりの上昇を描いてきました。
2019年に限っていえば,年初は15,705円でしたが,12月13日には19,588円となっています。高値を記録した11月5日には20,736円まで上昇しました。
結果的に,私の保有するなかで最も損益率がよい資産クラスになりました。現在まで積立中にもかかわらず,2019年11月末の時点で損益率は20%を超えています。
私の場合は,約30万円の投資金額に対して,36万円ほどの評価額になっています。
ニッセイJリート「も」買ってよかった
もちろん,金融商品の優劣は単年のリターンの大きさで決めるべきことではありません。
後述しますが,一般論として,資産クラスごとの値動きは毎年激しく入れ替わります。ほかの資産クラスに比べて短期的に大きく値上がりした資産クラスも,長期的にみればどのように変化するかわかりません。
日本REITは,これ1本に投資すればよいという性質の商品ではないと私は思います。国内外の株式ファンドと組み合わせたり,バランスファンドの一部として保有するほうが賢明であると考えます。
私は,本ファンドの他にも,「三井住友・DCつみたてNISA・日本株」「eMAXIS Slim 先進国株式」などの国内外の株式ファンド等を保有しています。「ニッセイJリートを買ってよかった」というより,「ニッセイJリートも買ってよかった」という意味で,本ファンドを2019年のベストバイストックとして光を当てたいと思います。
◆なぜ,他の資産ではなく日本REITインデックスファンドなのか。理由は3つあります。長くなってしまうので別記事にしました。
ニッセイJリートの概要と分析
ニッセイJリートは2013年6月18日に設定され,現在まで継続して資金流入のある人気のインデックスファンドです。
以下,ファンドの概要と分析をまとめます。
ベンチマーク:東証REIT指数(配当込み)
東証REIT指数とは,東京証券取引所に上場しているすべての不動産投資信託(リート)を対象とした指数です。上場銘柄数は2019年11月末時点で63で,これらの時価総額加重平均型の指数となっています。
ベンチマークはつみたてNISAの対象ではないため,つみたてNISA口座で購入することはできないのが残念です。
組入上位銘柄は以下の通りです(本ファンドの交付目論見書(2019年8月10日更新)より)。
銘柄 | 比率 | |
1 | 日本ビルファンド | 7.5% |
2 | ジャパンリアルエステイト | 6.8% |
3 | 野村不動産マスターファンド | 5.5% |
4 | 日本リテールファンド | 4.3% |
5 | ユナイテッド・アーバン | 4.1% |
6 | オリックス不動産 | 4.1% |
7 | 大和ハウスリート | 3.6% |
8 | 日本プロロジスリート | 3.3% |
9 | アドバンス・レジデンス | 3.2% |
10 | GLP | 3.1% |
上位10銘柄の合計割合 | 45.5% |
上場銘柄数が少ないのもあって,上位10銘柄で時価総額の45.5%を占めています。したがって,これらの銘柄の値動きが全体に大きな影響を及ぼします。
ベンチマークは配当込み
ニッセイJリートのベンチマークは,東証REIT指数に配当を加えた配当込み指数です。
なお,日本REITに投資する国内のインデックスファンドは,すべて東証REIT指数をベンチマークとしています。配当込み・配当除く指数がありますが,配当除く指数でも実質的には配当込みへ連動する形になりますので,実質的に同じです。
信託報酬等のコスト:信託報酬は年率0.25%(税抜)
信託報酬は業界最低ではありませんが,十分に安価といえる年率0.25%(税抜)です。監査費用など,その他の費用を上乗せした実質コストも,0.274%と低水準です(2019年5月の交付運用報告書より)。
ニッセイJリートより信託報酬の低いファンドもあるのですが,現時点では本ファンドのほうが私は安心して投資できると私は考えています。コストで競合するファンドの中で,本ファンドは運用開始後の期間が長く,純資産残高が大きいからです。
また,<購入・換金手数料なし>シリーズは継続的に信託報酬を切り下げているので,本ファンドも今後さらに低コスト化が進む可能性があるとみています。
純資産残高:ゆっくりだが流入基調
純資産残高は2019年12月13日時点で,約145億円です。信託報酬が0.3%未満の低コストインデックスファンドでは最も純資産残高が大きなファンドです。東証REIT指数はつみたてNISA対象ではないものの,徐々に資金流入がみられています。
ニッセイJリートと信託報酬が同じか下回るファンドを比較すると,以下のようになります。
信託報酬(税抜) | 純資産残高 | 設定日 | |
Smart-i Jリート | 0.170% | 31億円 | 2017/8/29 |
eMAXIS Slim 国内リート | 0.170% | 4億円 | 2019/10/31 |
ニッセイJリート | 0.250% | 145億円 | 2013/6/13 |
三井住友・DC日本リート | 0.250% | 27億円 | 2016/9/23 |
たわらノーロード国内リート | 0.250% | 89億円 | 2015/12/18 |
たわらノーロードは89億円,Smart-iと三井住友・DCは30億円程度を集めています。最近設定されたeMAXIS Slim国内リートどこまで伸ばすかが注目すべきところですね。
純資産残高は大きいほうが運用期間中に償還されるリスクが減り,コストも引き下げ余地が生まれてくるので有利です。
取扱販売会社:16金融機関
SBI証券,楽天証券,マネックス証券などのオンライン証券を含む,16金融機関から購入できます(2019年12月時点。ファンドページをご確認ください)。
魅力的な投資先だが,分散投資を
2018~2019年と好成績が続いた日本REITですが,2020年以降も同様に上昇相場が訪れるとは限りません。
水を差すようですが,2009~2018年の円建ての各資産クラスの成績を見てみましょう(図はモーニングスターより,円建て)。年間騰落率を上位から順に並べた表です。
日本REIT(国内REIT)は濃緑の部分です。これを見ると,過去10年間で3回,リターンで3位までに入った回数が6回もあります。一方で,最下位になったのも2回あります。0~10%程度のリターンに収まっている年は2016年と2018年しかありません。順位だけでなく,騰落率の振れ幅がとても大きいことがわかるでしょう。
したがって,日本REITだけに集中投資すると近い将来,痛い目にあう可能性は高いと思われます。日本REITへの投資は魅力的ですが,他のリスク資産や手持ち現金までを含めて,資産を分散して管理すべきだと考えます。
◆なお,私のリスク資産全体に占める日本REITの割合は7%程度です。
◆日本REITインデックスファンドを購入する3つの理由について。
ベストバイストック参加者一覧
本企画の魅力はブロガーが身銭を切った立場から,おすすめの商品をお届けする投資家目線の記事が多いことです。投資方法は十人十色です。同じ商品を購入していても着目する点が違っていることもあり,面白いです。
そして明日は,高配当株やマイレージや車などの話題に独自の視点で切り込んでいく人気ブロガー・しょこらさんです! お楽しみに。
◆参加者とブログ一覧です。
日付 | 氏名 | ブログ名 |
12/25 | NightWalker | NightWalker’s Investment Blog |
12/24 | ミスターマーケット | ミスターマーケットの日本株米国株投資ブログ |
12/23 | ずずず | ずずず のんびり日記 米国株日本株投資 |
12/22 | りんたろう | The Arts and Investment Studies |
12/21 | mort | mort投資ブログ |
12/20 | つみたて次郎 | つみたて次郎の投資日記 |
12/19 | シータ | つみたてシータ |
12/18 | もみあげ | ”もみあげ”の米国株投資 |
12/17 | こトリさん | こトリさんが!米国株投資で借金家族を助けたい! |
12/16 | しょこら | 【24/7】高配当株とかマイレージとか車とか【独り言】 |
12/15 | なまずん | 弱者のゲーム |
12/14 | みさき | のんびりコツコツ投資生活 |
12/13 | ひめだか | こつこつとスマートに暮らそう |
12/12 | 橘龍馬 | マネーの研究所 |
12/11 | パーサモウニアス | 月16万の都会暮らし資産運用記 |
12/10 | ナザール | トラインベスト |
12/9 | ジロ | ジロの端株投資奮闘記 |
12/8 | HIROBUN | HIROBUNが投資信託を見える化するブログ |
12/7 | Masami | マネーの研究所 |
12/6 | サンダー | サンダーブログ |
12/5 | ねこまにあ | にじいろライフログ |
12/4 | りんり | バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ |
12/3 | みとべ | みとべのできるかな |
12/2 | みらい | 東北投信 |
12/1 | ななし | 氷河期ブログ |
締切に追われる本業と異なり,ブログは気ままに書いているので,締切のある記事執筆はなかなかプレッシャーでした(笑)。
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