【2023年9月】全世界株式インデックスファンドのリターン比較とおすすめ【リターン・信託報酬・実質コスト・純資産総額の一覧】

230102 全世界株式インデックスファンド比較証券会社・運用会社
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この記事はつみたてNISA対象の商品のリターンを比較する以下のシリーズの「全世界株式」編です。

【2023年9月】最新ファンド比較記事一覧
当ブログではつみたてNISA対象のインデックスファンドとアクティブファンドのリターン・信託報酬・実質コスト・純資産総額などを一挙に比較しています。リターンは最大20年の長期の騰落率...

インデックスファンドのリターンは、「配当込み指数の動き」と「運用のコスト・誤差」によって決まります。同種のインデックスファンドであれば指数の動きは同じですので、運用のコストや誤差がなるべく小さいファンドが投資家にとって優れた商品ということになります。

そこで、この記事では、基準価額の推移をもとにこれまでの運用状況を比較しています。

最終的な損益を分析することで、見えないコスト面も含んだファンドの総合的な実力を知ることができます。

◆最近の更新
2023/09/05 2023年8月末の情報に更新。
2023/08/07 2023年7月末の情報に更新。
2023/07/03 2023年6月末の情報に更新。
2023/06/02 2023年5月末の情報に更新。
2023/05/03 2023年4月末の情報に更新。
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全世界株式インデックスファンドの対象指数は4種類

全世界株式インデックスファンドには4種類の対象指数(ベンチマーク)があります。全世界株式指数が2種類と、そこから日本や米国を除いた指数です。

MSCI ACWI(日本を含む)

MSCI ACWI(MSCI All Country World Index)は、米国MSCI社が算出している株価指数です。

指数は日本を含む47か国からなり、時価総額加重平均によって算出されています。大型株・中型株の約2,900銘柄からなり、投資可能な株式の約85%をカバーしています(2022年11月末時点)。

国別の構成比は次の通りで、米国が60%以上を占めています

国名構成比
米国61.65%
日本5.32%
英国3.80%
中国3.30%
カナダ3.10%
その他22.83%

MSCI ACWI(日本を含む)に連動するインデックスファンドは以下のとおりです。

なお、信託報酬は税抜、純資産総額の単位は百万円。ファンドは、①信託報酬率が安い、②運用期間が長い(設定日が古い)順に並べています。また、緑色の欄は「前月末までの◯年間の総リターン」を示し、黄色の欄は過去5年における1年ごとのリターンを示しています。

名称信託
報酬
実質
コスト
純資産
総額
前月までの長期リターン過去5年における1年ごとのリターン決算日設定日備考
過去
1年
過去
3年
過去
5年
過去
10年
過去
15年
過去
1年
1~2
年前
2~3
年前
3~4
年前
4~5
年前
eMAXIS Slim 全世界株式
(オール・カントリー)
0.0524%0.166%1,417,45119.84%71.21%19.84%6.89%33.65%16.11%2023/04/252018/10/31信託報酬は純資産総額5000億円以上の部分が0.0524%、1兆円以上の部分が0.0523%
Tracers MSCI
オール・カントリー
0.0525%未決算1,5692024/05予定2023/04/26信託報酬のほか諸費用は最大0.03%
はじめてのNISA・全世界株式
(オール・カントリー)
0.0525%未決算5562024/06予定2023/07/10
たわらノーロード
全世界株式
0.1030%0.251%8,64119.80%70.75%19.80%6.79%33.46%15.91%2022/10/122019/07/22
Smart-i Select
全世界株式
0.1040%0.218%88419.73%19.73%2023/02/162022/04/27
つみたて
全世界株式
0.2000%0.275%1,95219.65%70.24%19.65%6.70%33.35%2023/06/262020/03/06実質コストは概算
ステート・ストリート
全世界株式
0.4800%0.595%15,18619.42%69.58%86.39%19.42%6.56%33.26%15.85%-5.13%2022/11/302017/09/08

直近1年間のリターン(緑色の欄の一番左)が最も良かったのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」でした。2022年1月以来では、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が19回、「たわらノーロード全世界株式」が2回トップを取っています。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、過去5年における1年ごとのリターン(黄色の欄)でも好成績ですので、直近で上方乖離して長期リターンがよく見えているのではなく、コストや運用の面で継続的に優位にあると推測されます。

したがって、これらのファンドのなかでは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が最もよい選択肢だと思います。

◆「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は純資産総額も順調に伸びています。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「楽天・全米株式」が純資産総額7000億円を突破!
人気インデックスファンドの「eMAXISSlim全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)が9月13日に、「楽天・全米株式」(楽天VTI)が9月9日にそれぞれ純資産総額7000...

2023年3月には、「たわらノーロード全世界株式」「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が信託報酬の引き下げを発表しました。「たわらノーロード全世界株式」も十分に優れたファンドです。

MSCI ACWI(日本を除く)

続いて、上記のMSCI ACWIから日本を除いた46か国から構成される、MSCI ACWIの「日本を除く指数」のファンドの比較です。

日本は構成比としては2番めですが、比率は5%台ですので、日本を含む指数と含まない指数でのリターンの差はそれほど大きくありません。

名称信託
報酬
実質
コスト
純資産
総額
前月までの長期リターン過去5年における1年ごとのリターン決算日設定日備考
過去
1年
過去
3年
過去
5年
過去
10年
過去
15年
過去
1年
1~2
年前
2~3
年前
3~4
年前
4~5
年前
eMAXIS Slim
全世界株式(除く日本)
0.0525%0.172%306,80319.79%72.39%91.93%19.79%7.17%34.28%16.58%-4.50%2023/04/252018/03/19信託報酬は純資産総額2500億円以上の部分が0.0524%、5000億円以上の部分が0.0523%
Smart-i Select
全世界株式(除く日本)
0.1040%0.226%43019.62%19.62%2023/02/162022/04/27実質コストは概算
野村つみたて
外国株投信
0.1900%0.238%103,35319.64%72.04%91.36%19.64%7.12%34.24%16.55%-4.56%2022/05/122017/10/02
三井住友・DCつみたてNISA
全海外株
0.2500%0.361%172,74719.55%71.12%89.95%234.41%19.55%6.97%33.81%16.30%-4.56%2022/11/302011/04/18
eMAXIS
全世界株式
0.6000%0.717%31,94819.13%69.58%86.89%229.85%19.13%6.58%33.56%15.96%-4.96%2023/01/262010/07/20

過去1年間のリターンでは「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」が最も良い結果となりました。トップを取った回数は、2022年1月以来「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」が19回、「野村つみたて外国株投信」が1回です。

また、1年ごとのリターンをみても、「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」の運用状況は良好でした。

そのため、これらのファンドのなかでは「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」を選ぶのがよいでしょう。

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」の信託報酬は2023年9月に引き下げられ、同種ファンドの中では単独で最安になりました。

なお、最も高い「eMAXIS全世界株式」も三菱UFJ国際投信が運用しており、マザーファンドを共有しています。それで3年間で2ポイント以上の差がついているという事実は、「高かろう悪かろう」の状態で、低コストな商品を選択する重要性がはっきり示されています。

FTSE Global All Cap Index

FTSE Global All Cap Indexは、英国FTSE Russell社が提供する指数です。

日本を含む49か国が含まれる、時価総額加重平均の株価指数です。構成銘柄数は約9,500銘柄で、小型株も含むところがMSCI ACWIと異なり、時価総額で95%以上をカバーしています(2022年11月末時点)。

国別の構成比は次の通りで、こちらも米国が60%以上を占めています。上位5か国の顔ぶれと比率はMSCI ACWIと大差ありません。

国名構成比
米国60.35%
日本6.00%
英国3.97%
中国3.32%
カナダ3.06%
その他23.30%

なお、全世界株式ETFで広く知られている米国バンガード社のETF、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)はこの指数を採用しています。

名称信託
報酬
実質
コスト
純資産
総額
前月までの長期リターン過去5年における1年ごとのリターン決算日設定日備考
過去
1年
過去
3年
過去
5年
過去
10年
過去
15年
過去
1年
1~2
年前
2~3
年前
3~4
年前
4~5
年前
PayPay投資信託
世界株式
0.0931%未決算352024/07予定2023/06/28信託報酬・実質コストに原資産経費率約0.042%(年率)含む
SBI
全世界株式(雪だるま)
0.104%0.124%130,09419.44%70.52%83.92%19.44%6.03%34.64%14.58%-5.86%2022/11/142017/12/06信託報酬・実質コストに原資産経費率約0.042%(年率)含む
SBI・V
全世界株式
0.128%0.162%28,62019.33%19.33%2023/01/272022/01/28信託報酬・実質コストに原資産経費率約0.07%(年率)含む
楽天
全世界株式
0.187%0.238%332,71719.27%69.75%84.19%19.27%5.94%34.34%15.14%-5.76%2022/07/152017/09/29信託報酬と実質コストに原資産経費率約0.067%(年率)含む

過去1年の運用成績は「SBI・全世界株式(雪だるま)」がトップでした。トップを取った回数は、2022年1月以来、「SBI・全世界株式(雪だるま)」が14回、「楽天・全世界株式」が7回です。

「楽天・全世界株式」はマザーファンドを通じて米国バンガードのVT(あるいは米国株のVTI+米国以外のVXUS)を中心に購入しているのに対して、「SBI・全世界株式(雪だるま)」は3種のETFを組み合わせて、指数へのある程度の連動をめざす方式です。この運用方法の違いが差を生んでいると推定されます。

実際に過去5年における1年ごとのリターンを見てみると、「SBI・全世界株式(雪だるま)」と「楽天・全世界株式」のリターン差は大きく、運用方法の違いを踏まえると、「SBI・全世界株式(雪だるま)」が上下に乖離しているのだと思われます。

運用方法を踏まえると、「楽天・全世界株式」のほうが、インデックスファンドとしては指数への連動性では優位といえるでしょう。

また、2022年1月に「楽天・全世界株式」とまったく同じ方法で運用する「SBI・V・全世界株式」が新たに設定されました。

「SBI・V・全世界株式」のほうが信託報酬が安いので、長期的には「SBI・V・全世界株式」が「楽天・全世界株式」を上回る成績を残すのではないでしょうか。

個人的にはもうしばらく様子を見てもよいと思いますが、運用に問題がなければ、積み立てるファンドを「楽天・全世界株式」から、より低コストな「SBI・V・全世界株式」に変更してもよいかもしれません。

FTSE Global All Cap Index(米国を除く)

2022年12月に設定されたのが、FTSE Global All Cap Indexの「米国を除く指数」に連動するファンドです。

全体の60%を占める米国を除いているので、米国を含むFTSE Global All Cap Indexとはまったく別物と考えたほうがよいでしょう。

名称信託
報酬
実質
コスト
純資産
総額
前月までの長期リターン過去5年における1年ごとのリターン決算日設定日備考
過去
1年
過去
3年
過去
5年
過去
10年
過去
15年
過去
1年
1~2
年前
2~3
年前
3~4
年前
4~5
年前
楽天
全世界株式(除く米国)
0.190%未決算1,1572023/07予定2022/12/22信託報酬・実質コストに原資産経費率約0.07%(年率)含む

利用機会としては、ポートフォリオ全体としてみて米国偏重になっているとき、それを全世界の時価総額比率に調整する場合などが考えられます。

米国株比率を下げるのに使える「楽天・全世界株式(除く米国」(楽天VXUS)が運用開始! つみたてNISAでも買える
2022年12月22日、すでに発表されていた「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」(楽天VXUS)の運用が開始されました。同日からつみたてNISA対象ファンドの仲間...

1本を選ぶなら「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」

MSCI ACWIとFTSE Global All Cap Indexは組み入れる銘柄数に約3倍の差があり、これは時価総額にして10%程度が異なります。おもに小型株の有無が異なるため、小型株の運用成績が大・中型株を上回ればFTSEのほうが好成績となり、逆に大・中型株が小型株を上回ればなればMSCIのほうが好成績になるといえます。

ですが、そこまで劇的な差が生まれることはなく、上のリターン表で比べても両指数の値動きは大差ありません。

この2つの指数の違いにこだわりすぎることよりも、投資を始めて、継続していくほうがずっと重要です。

それを踏まえると、もし1つのファンドだけを選ぶとすれば、最も純資産総額が大きく、かつ運用も問題なく行われていると考えられる「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」がよいと考えています。

もし、小型株も含めてより多くの銘柄に分散することに魅力を感じるなら、「楽天・全世界株式」や「SBI・V・全世界株式」を選ぶのもありでしょう。また、日本の個別株や日本株の投資信託を持っている人は、「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」などの日本を除く全世界株式を選ぶのもよいと思います。

◆米国株式や先進国株式など、その他の指数に連動するファンドの比較はこちらから!

【2023年9月】最新ファンド比較記事一覧
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