「72の法則」は妥当だけれど役立たない?

211115 「72の法則」は妥当だけれど役立たない? 私の投資戦略
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仮に年率3%を目安に運用すると,何年で運用総額が2倍に増えるのだろう?

「72の法則」はそのような疑問を感じたときに役立つ考え方です。資産運用の利率と期間の関係についての速算に使うことができます。

その式は「元本が2倍になるまでにかかる年数 × 運用利回り ≒ 72」というもの。

たとえば,年率3%で運用するなら,元本が2倍になるのは約24年と計算することができます。

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「72の法則」は計算上ではかなり妥当

この計算の結果はかなり妥当です。ためしに,毎年の利回りを一定として,年率0.5~10%で運用した場合を考えてみましょう。

それぞれの利回りで,「72の法則」から導かれる期間と実際に計算してみた結果を比較してみます。

72の法則の計算結果 2倍になる期間
0.5% 144年 139年目
1.0% 72年 70年目
2.0% 36年 36年目
3.0% 24年 24年目
4.0% 18年 18年目
5.0% 14.4年 15年目
6.0% 12年 12年目
7.0% 10.3年 11年目
10.0% 7.2年 8年目
年率2~7%という現実的な長期的リターンを見込める範囲はほぼかんぺきな精度でカバーできていますね。72には約数が多いのも暗算に便利です。

1%や10%といった範囲でもほぼ妥当な結果です。速算用としては十分に実用に耐えます。

ちなみに,1.5倍に増える期間を考えるときは,「42の法則」という同じ考え方ができます。

「72の法則」を考えるうえで注意したいこと

このように精度にはほとんど問題ないのですが,この法則を利用していくうえでの注意点もあります。

株式投資の未来予測には現実的に使えない

「72の法則」は運用期間にわたって利回りが確定していないと使えません。

株式投資は,ある1年では+50%になったり,逆に-40%を記録したりもします「何年目にどうなる」という未来予測に応用することは危険です。

また,そもそも将来の投資の平均リターンが何%になるかは予想が難しいことがあります。予測が仮に1%ずれるだけでも数十年後の結果がまったく異なってきてしまうので,これをもとに考えていくのは問題があります。

では,「72の法則」を使える場面はどのようなときでしょうか?

私が考えるのは,「2倍に増えるまでの期間から,年率何%くらいのペースだったのかを推定する」という過去の目安を振り返る際に役立たせることです。

たとえば,ある株式指数が5年で2倍に増えていれば,年率14.4%だったと簡単に計算できます

インデックス投資でそれだけのリターンが出たようなときは,その期間は歴史のなかでもリターンがかなり良い5年です。いずれどこかでその揺り戻しがくると心のなかで準備したり,リスク配分を調整するきっかけにしてもよいかもしれません。

なお,詳しく触れませんが,この計算で導かれる利回りは幾何平均リターンで,一般的に示される年率平均リターンは算術平均です。「幾何平均≦算術平均」という関係があるので,算術平均リターンの積み重ねが将来に実現するとは考えないほうが適切です。

積立投資に対応しているわけではない

また,「72の法則」は積立投資に対応していません。給与収入の一部を投資に回していく方針で投資をする場合は,ほとんど使う場面が思いつきません。

しかし,「早い段階から少しずつでも投資することが有効であること」はこの法則から推測できます。

たとえば,年率3%の利回りを仮に想定したときに,1.5倍に増える「42の法則」と2倍に増える「72の法則」を考えてみましょう。

1.5倍になる「42の法則」 2倍になる「72の法則」
3.0% 14年 24年

1.5倍に増えるには運用開始から14年かかるのにに対して,2倍に増えるのはそこから10年しかかかりません。複利の効果によって,金額ベースでは増えるのにかかる期間が短くなっていきます。

少ない資金からでも,なるべく早い段階から少しずつ投資していく方針が有効であるといえます。

「運用期間」をコントロールに注力しよう

記事をまとめると,速算用として「72の法則」の精度は十分です。しかし,これをもとに投資の将来予測をしていくのは少し考えものです。ただ,これを知っておくことで役立つ場面もあります。

また,「72の法則」が示すように,運用の成果は「運用利回り」と「運用期間」の要素から成り立ちます

「運用利回り」は,平均を超える水準を長期間に保つのは困難です。一方で,「運用期間」は投資家がコントロールできる部分があります。そうであれば,「運用期間」をなるべく多くとれるように投資をしていく戦略が重要であると私は考えます

早い時期から投資を開始し,途中で離脱しないようにリスクを制御しながら続けていくことを大切にしていきましょう!

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