つみたてNISAの制度期限の延長は歓迎――いずれは恒久化を

191008つみたてNISAの制度期限の延長は歓迎,いずれは恒久化を NISA・つみたてNISA
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2019年10月7日,政府が2020年度の税制改正大綱に,つみたてNISAの制度期限延長を盛り込む方向であると報道されました。

つみたてNISA延長へ 投資期間20年を確保:朝日新聞デジタル
政府・与党は、「少額投資非課税制度(NISA)」の一つである「つみたてNISA」の投資期限を今の2037年から延長し、20年間の積立期間を確保する方向で調整に入った。年末にまとめる...

2019年から始めた人や,これから始める人にとっては朗報です。

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現制度では,口座を開設してから20年間積み立てられるわけではない

投資で得た利益を非課税とするNISA(少額投資非課税制度)は,個人投資家にとって有益な制度です。とくに,長期での資産形成をめざす若年層にとっては,2018年に開始された,年間40万円を20年間非課税で運用できる「つみたてNISA」は使い勝手のよい仕組みです。

ところが,2018年に始まったつみたてNISAは,投資できる制度期限が2037年まででした。つまり,2018年から開始した人は2037年までの20年間×40万円の投資が可能ですが,2020年から開始した人は2037年までの18年間×40万円しか非課税投資枠がありません。

このままでは非課税投資枠が年々減少してしまうので,2019年8月,金融庁は「令和2年度税制改正要望項目」にて,制度変更の要望を出しています(図は同資料より)。

つみたてNISAの非課税投資枠

開始時期によって積み立て可能な期間が変わってしまうのは世代間の公平性が少なく,また,年々積み立て期間が短縮する(=非課税投資枠が減少する)のでは,政府が掲げる「貯蓄から投資へ」という大きな流れに反することになります。

とくに,つみたてNISAは20代・30代の利用が増えています。そういった世代にとっては,いつ始めても20年間の非課税投資枠がほしいところですね。

制度延長ではなく,いずれは恒久化を

なお,主な要望項目は以下の通り(同資料より)。

  1. 資産形成を支援する環境整備
    • NISAの恒久化・期限延長
    • NISAの利用促進と利便性向上(つみたてNISA奨励金の非課税措置,NISA口座の手続書類の電子化等)
  2. 簡素で中立的な投資環境の整備
    • 金融所得課税の一体化
    • 上場株式等の相続税評価の見直し
  3. 保険・特別法人税
    • 生命保険料控除制度の拡充
    • 特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長〔厚生労働省主担〕

「NISAの恒久化・期限延長」にて,「NISA制度について恒久措置とすること。特に,『つみたてNISA』については,開始時期にかかわらず,20年間のつみたて期間が確保されるよう,制度期限(2037年)を延長すること」との要望が出されていました。

報道は「制度延長」という表現ですので,恒久化は今年は実現しないかもしれません。NISA口座の開設数は国民の1割ちょっと,つみたてNISAはまだ147万口座と国民の一部しか利用していない制度ですから,これから始める人のことを考えると,制度延長ではなく恒久化が図られるとよいと思います。

金融庁からの要望項目では,恒久化・制度延長はつみたてNISAに限った話ではなく,NISA制度すべての恒久化が訴えられています。2023年末に制度期限を迎える一般NISAとジュニアNISAは延長されないのか,その場合2024年からは,一般NISAを使っていた人がつみたてNISAに切り替えた際にいくら投資できるのかなどがまだ不透明なので,この先の成り行きにも注目したいです。

なお,最後の特別法人税(年金運用資産に対して年1.173%の課税,現在凍結中)については,iDeCoの潜在的なデメリットとしてときどき話題になっています。こちらも撤廃,または少なくとも延長が決まることを願います。

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