インデックス投資でも急落に慣れておこう

インデックス投資
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今週に入って株価が下落傾向にあります。中国恒大集団(エバーグランデ)の債務問題に端を発した懸念が広がっています。単に1社の問題ではなく,仮に債務不履行となれば貸し手に損失が及び,それが連鎖していくことによる悪影響が心配されているために,話が大きくなっています。

それでも,株価指数の下落率を調べてみれば,直近数か月のピークからS&P500は約4%,TOPIXは約3.5%ほど下げた程度です。小さな下落ではないものの,さほど大きくもありません。

年初来で見ればS&P500は+18%、TOPIXも+13%と推移しています。多くの人にとっては,含み益が少し減ったくらいの状況でしょう。

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気持ちを整理して長期の視点から見てみよう

指数がたかだか数%下落したくらいで破滅的な状況になる人は少ないでしょう。もし,このくらいの市場の下落で資産や自分の感情に重大な影響が及んでいるのであれば,そもそもの投資法に問題があります。

たとえば,レバレッジを掛けすぎているとか,影響を受けやすい特定銘柄に集中的に投資しすぎているとか。

投資先がインデックスファンドであれば,現時点での値動きは指数と同じ数%程度です。ただ,大きな恐怖は感じていないものの,「焦りはないけどなんとなく落ち着かない」という人はいるかもしれません

仮にこの事案が金融システムへ影響を及ぼせば,株価が大きく下落する可能性はあります。そうなれば世界経済はしばらく低迷するかもしれません。人によっては,そういった漠然とした先行きへの不安があるのではないでしょうか。

そんなときは,投資資金がどんな目的のものであるかを考えてみましょう。

たとえば私の場合は,おもに老後の生活費にあたる部分を運用に回しています。仮に65歳で退職すると考えれば,35年後になってようやく使い始める資金です。また,退職した瞬間に全てを売却するわけではなく,運用はその後も続きます。運用期間はもっと長くなる見込みです。

資産運用の期間が長くなれば、投資金額に対してマイナスで終わることはほぼありません。インデックス投資を解説した名著『敗者のゲーム』によれば,運用期間が長くなればなるほど株式のリターンがマイナスに終わる可能性が減ります(図は同書より)。

運用期間とリターン(敗者のゲームより)

最も色の濃い棒グラフが株式です。運用期間が長くなればなるほど,最低の部分が切り上がっていく様子がわかります。

なお,ここで一度撤退して,再参入するのも戦略としてはありますが,再参入のタイミングをはかることが難しいです。また,大問題にはならずに短期間で持ち直す可能性もあり,やめてしまっていれば,投資機会や非課税投資枠を失うだけになるかもしれません。

見極めに自信があるならそれも一手ですが,平均的な投資家はいわゆる「安値で売り,高値で買う」という傾向が明らかになっており,保有し続けた場合を超えることは難しいというのが通説です。

どうしても不安で気になって仕方なければ,それは投資金額が多すぎるからです。その場合でも全部ではなく,一部だけを売却して,許容できる値動きの程度を探してみてはいかがでしょうか。

見方を変えれば,運用期間が短くなってきた場合は債券や現金を用いてリスクを減らしていく必要もあることがわかる図ですね。

インデックスファンドも低リスク運用ではない

市場に含まれる銘柄を幅広く購入するインデックスファンドは,「個別銘柄に特有の値動き」の影響を抑えることができます。今回も,中国恒大集団の値動きによるインデックスファンドへの影響は無視できる程度です。

投資ブロガーのケンズさんの記事では,「eMAXIS Slim 新興国株式インデックスファンド」に組み入れられている中国恒大集団の割合は約0.05%だそうです。

この部分がなくなったとしてもほとんど影響はありませんね。

しかし,「個別銘柄に特有の値動き」の影響を軽減できるインデックスファンドも,「市場全体の値動き」の影響はそのまま受けてしまいます

記憶に新しいところでは,2020年には約30%の暴落がありました。

これくらいの暴落は特別ではありません。過去50年ほどを振り返ってもときどき発生し,5~10年に1回は来ています。

このように,インデックス運用も低リスクの運用ではないことは肝に銘じておく必要があります。

短期的な感情と長期的な目標を切り分ける

インデックス運用は取り組みやすく,長期的には収益が期待できる方法です。運用の手間も少なく,資産形成においてインデックス運用に勝る方法を私はいまのところ見つけられていません。

しかし,他の多くの運用手法と同様に,資産を増やしていくためには大小の相場の波を乗り越えていかなければなりません。そのためにも,下落に慣れておくことや,不安になる感情を理解し,コントロールしていく必要があります。

もし,少し複雑な気持ちを感じていたら,それを覚えておくと今後に役立ちます。そして,長期の視点をもって乗り越えていきましょう!

目の前の株価によって行動を変えることではなく,将来のために適切に準備をしておくことが重要です。少し不安になったら,いまの自分の行動を,将来の自分が褒めてくれるかどうかを考えてみてはいかがでしょうか。

 

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