なまずんです。
資産運用・資産管理における私の目的を極論すれば,「長期的にお金を増やすこと」です。ブログではそのための方策を考えています。
この目的のもと,資産運用は「インデックスファンドへの長期投資」を中心に据えることが最適と現時点で私は結論を出しています。
投資ブログ,特に投信記事を作成する立場ではどうしても細部が気になりがちです。しかし,実際のリターンに及ぼす影響からみた「インデックスファンド選び」はごく単純でよいと思っています。
個別商品はなるべく時短で選んで良いでしょう。「iDeCoかつみたてNISAくらい始めようかな」と思っている20代の知人にからよくもらう相談で私が答えている,ファンドの選び方をまとめました。
商品選びは2要素で
「数ある投資信託の中から,商品をどう選ぶか」について,私なりの考えはすでにまとまっています。判断基準は次の2項目です。
- 同じ資産クラスの中で信託報酬が最低水準
- 総資産額が10億円以上で,継続的に増えている
同じ資産クラスの中で信託報酬が最低水準
何よりもコストに敏感になりましょう。
同じ指数に連動するインデックスファンドでも,リターンは同じではありません。最大の理由はファンドごとにコストが異なるためです。
投資家が得られるリターンは,配当や税金を考慮した総リターンから,資産運用会社等に支払うコストを引いたものとほぼ一致します。
コストの中で最も注目すべきが「信託報酬」の高低です。信託報酬は確定したコストであり,リターンを押し下げる効果が保有期間中,複利で効いてきます。
ここで,本来であれば実質コスト(信託報酬+市場での売買コストなど)を考慮したほうがより正確です。しかし実質コストは運用前には不確定なため,たとえ今は運用が優秀なファンドでも長期的な未来はどうなるかわかりません。投信マニアでなければ,コストの大きな割合を占め,かつ確定している信託報酬を比べるのが理にかなっています。
なお,信託報酬の水準は,%表記で小数点以下第1位(0.1%のレベル)まで考慮すれば十分と思います。
信託報酬の違いがどの程度リターンに影響を及ぼすかを試算したところ,つみたてNISAを2018年に始め,年間40万円入金する積立投資を20年間継続した場合で,信託報酬が0.1%違うと20年後に8万円程度の差が出ます(信託報酬が実際の金額に及ぼす影響はリターンの程度によります。基準価額が変動しなかったと仮定)。つまり,信託報酬0.01%の差では8000円程度,0.001%の差では800円程度です。
他に考慮すべきコストは「販売手数料」です。購入時にかかる手数料です。「信託財産留保額」を売却時に費用として支払わなければならないファンドもあります。
低コスト投資信託は「販売手数料」が無料(ノーロード),「信託財産留保額」がゼロの場合がほとんどです。「販売手数料」は無料が良いです。「信託財産留保額」の有無は一長一短ですので,どちらでもよいと思います。
総資産額が10億円以上で,継続的に増えている
長期投資は文字通り,長く続けなければなりません。投資先のファンドの運用が打ち切られてしまう状況は避けたいです。
その理由は税金にあります。投資信託の利点として,配当金課税を先送りできるため,再投資の効率がよいことが挙げられます。配当金の税率は20%なので,長期投資ではその分が複利で効いてきます。最終的には売却益の20%を納税することになりますが,「配当金として受け取っていたら税金として消えていた分」に複利で利息がつくため,長期で運用すればするほど投資信託は有利になります。
ゆえに,ファンドの運用が打ち切り(繰上償還)はその後のリターンを押し下げる要因になります。
資産運用会社がファンドの運用を打ち切って早期償還する最もあり得る理由は,「不人気のため,(資産運用会社にとって)採算が取れないor収益が少ない」ことです。
資金が流入し,ある程度の規模があるファンドならば継続して運用するはずです。「総資産が10億円以上」「資金流入傾向」は,そういった背景から基準にしています(10億円には確たる理由がありませんが,一般的に10~30億円程度をしきい値に考えることが多いようです)。
また,ファンドの規模は大きいほど固定費負担を薄くできるので,大きいほど資産運用会社にとっては有利です。
資産運用会社と投資家がwin-winの関係を築かなければインデックスファンドへの長期投資はできません。win-winになりやすいファンドは,結果的に大規模なファンドです。
一つに絞り込めなかった場合は
1,2の条件を満たすファンドならば投資先として十分です。しかし,2条件では複数ファンドが選ばれてしまうことが多いです。そんなとき,私は以下のような理由で選んでいます。
- 設定がより早い
⇒これまで繰上償還しなかった実績を評価 - 総資産額・資金流入額がより大きい
⇒人気ファンドを繰上償還するのは考えにくい - 信託報酬の引き下げ実績がある
⇒該当ファンドへ力を入れていると思われる - 個人投資家への発信を続けている
⇒個人投資家を大切にする姿勢を感じる - すでに保有しているファンドとは違う資産運用会社
⇒1社の経営姿勢の変化の影響を減らす
主要なアセットクラスでは,たいていの場合,<購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスファンドシリーズとeMAXIS Slimシリーズを中心とした選択になる場合がほとんどです。
原稿執筆時点では,どちらかを買っておけば問題ないと思います。私もニッセイとeMAXIS Slimがおよそ半々で,他のファンドを少々持っている程度です。
「自己繰上償還」してはいけません
株式投資の歴史を振り返れば,コストが十分に低いファンドに20年以上にわたって長期投資すれば,プラスのリターンはほぼ確実です。
ファンドの購入時は,低コスト,かつ資産運用会社にしっかり長く運用してもらえそうなファンドの選択が重要です。
繰り返すようですが,何よりも重要なのは「長く継続すること」です。資産運用会社が運用を継続しているにもかかわらず,「自己繰上償還」とも言うべき資産形成途上での売却は将来の資産状況に悪影響を及ぼすでしょう。
なお,運用中に投資対象としてより優れたファンドが登場する場合があります。そういった場合はファンドの乗り換えを検討してもよいと思います。乗り換えの際は,これまで積み立てた分は売却せずにそのまま運用を継続し,その後の積み立て先のみを変更する方法がおすすめです。
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今日は投資を始めようと思っている人向けの記事でした。
投資商品は消費者の求めによって作られる側面もあります。投資家にとってよりよい投資商品が生まれるには「商品をより吟味する投資家」が増える必要があります。関心があれば運用報告書を見て,信託報酬以外のコストや指数との連動性の程度などを確認してみるのもよいでしょう。低コストかつ長期運用してくそうなインデックスファンドを選ぶことから始めてみませんか。
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