前向きな力をくれる一冊:『上京物語――僕の人生を変えた,父の五つの教え』

190322上京物語 レビュー 書評

なまずんです。

社会人2年目に読んだ本を読み返しました。

発売から10年を経た今も内容は古びることなく,私が10代後半から20代前半に薦める本の一つです。「上京」とあるように,ふるさとから離れて新しい生活を始めた若者を主人公に書かれた一冊です。

自己啓発書としては読みやすい小説形式で,4時間程度で通読できる分量なのもよいです。ふとしたときに手に取れるよう,私は書籍だけでなく電子版も持っています。

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本書を手にとったきっかけ

大学時代の同期から薦められた一冊です。薦めた人は読書家で,東海地方の町村の出身で大学入学を期に東京で一人暮らしを始めました。

友人も私も『上京物語』における主人公の「祐輔」と境遇が似ていたので,私に一読を勧めてくれたものと推測しています。

本書は多くの人が「目先のお金のために」生き,他人と比較し続け,挑戦を避け,最終的に晩年後悔する人生に陥りやすい理由を解説し,そのスパイラルからどう脱却するか,見方を変えるきっかけを与えてくれます。

私のように地方から都市に出てきた人にとっては特に共感できる要素が多いです。しかし,「上京」した人に限らず,つい他人と比較しがちで,お金に悩みを持つ若者には一刻も早く手にとってもらいたい一冊です。

本書の情報

著者

喜多川泰氏。1970年東京生まれ。愛媛県に育つ。東京学芸大学卒。1998年,横浜に聡明舎を創立。以降,生徒の能力を最大限に発揮する方法を求めて自己啓発の研究を続け,自ら執筆活動を始める。(本書著者紹介欄より)

発売日・版元

2009年2月発売。ビジネス書・自己啓発書を中心に出版するディスカヴァー・トゥエンティワンから発行。

本書の構成

目次

scene 1 「祐介」の物語
人生のスタートライン
努力の日々
第一の決断 車を買う
お金を貯める
焦燥
第二の決断 結婚する
家族を養う
第三の決断 マンションを買う
後悔
scene 2 父からの手紙
父の思惑
愛する息子,祐輔へ
やぶるべき一つ目の常識の殻――幸せは人との比較で決まる
やぶるべき二つ目の常識の殻――今ある安定が将来まで続く
やぶるべき三つ目の常識の殻――成功とはお金持ちになることだ
答えはどこに?
自分なりの価値観を築く
自分の価値観を持つ方法①――「時間」を投資する
自分の価値観を持つ方法②――頭を鍛える
自分の価値観を持つ方法③――心を鍛える
……など

愛媛県出身で東京の大学への進学を控えた「祐輔」に対して,父が架空の人物「祐介」が登場する小説を贈った,という設定です。

自己啓発書としては珍しい構成です。一般的な自己啓発書が苦手な方もすっきり読破できると思います。なお,サブタイトルの「五つの教え」とは,やぶるべき常識の殻を5つ紹介していることによります。

上京した人の多くは,なぜ救われない人生を送るのか

scene 1でつづられる「祐介」の人生は多くの人が陥り,後悔しやすい選択をまとめたような話です。

事業に大成功し,「成功者」と呼ばれるようになる大きな夢から,派手でなくても落ち着いた日常生活を手に入れるといった小さな成功まで,いろいろな希望を持って始まる人生で,陥りやすい罠とは何でしょうか。

周りとの比較が自分の幸せを奪う

周囲が月収20万円で自分だけが月収40万円もらえる職場と,周囲が月収100万円で自分だけが月収50万円の職場があるとき,多くの人は前者に幸せを感じると言われます。周りの人を気にすべきでないと思いつつ,つい,周りが気になってしまいます。

実家暮らしの人に比べ,一人暮らしは衣食住への持ち出しが相当額を支払うことになります。つまり,遊びや貯金に回せる金額は全く異なります。

上京して一人暮らしする「祐介」の話でも,実家暮らしの人と比較した経済的環境の違いから,「祐介」が心労を重ねる様子が描き出されています。延々と他人と自分を比較し続けた結果,疲れ果てて無気力になっていく。夢を抱えて人生をスタートしたのに,次第に言い訳を重ねるようになります。

「アイデアが十分でないから」「まだお金が十分貯まっていないから」「家族が希望するから」――。無理して車やマンションを購入し,家族が増えたことで,少しでも給与が減ったら生活が立ち行かなくなることにおびえる人生。失敗できない理由が増えていき,新たな挑戦はどんどん難しくなっていきました。

本書ではscene 2の解説で,この状況を「自らの幸せを追求するのではなく,他人が持っているものを追い求める人生」と指摘。私も同感でした。しかし,同時にこれは誰もが陥りやすい落とし穴であると思います。

◆20代の家賃を全て投資に充てた場合の試算の一例です

20代の家賃が資産形成に与える影響を試算してみた
借りぐらしのなまずんティです。 「持ち家と賃貸,どちらが得か?」という二元論がありますよね。 往々にしてその結論は「どちらでもよい。好みで選べ」という落とし所になります(私...

また,他人との比較との観点からは,「常識」が敵になることもあります。お金に関して言えば,誰もが(あるいは,成功者が)持っているから自分も家や車を買うなど,他人との比較を理由に選択しても,真に自分が満足できるかどうかは別の問題です。

自分なりの価値観を築く3つの方法

著者の喜多川氏は,こういった人生のピットフォールに陥らないために自分なりの価値観を築くことを推奨し,3つを本書で提案しています。

① 「時間」を投資する
時間の「消費」と対応する概念です。時間の使い道として,自分の将来につながる経験作りに当てることを勧めています。

② 頭を鍛える
頭脳こそが人間の武器です。もちろん,学校で習う勉強だけが頭を鍛える方法ではありません。自分の強みを持つことが重要です。

③ 心を鍛える
氏が最も重要と指摘する方法です。全ては心の内で何を考えているかが,その人を作り上げるとの考えに基づきます。積極的に,明るく,前向きに物事を考えようと啓発しています。

本書を読んだ私としても,③は重要です。積極的に,明るく,前向きに考える人は魅力的である一方,批判的で後ろ向きな考えにひかれることはほとんどいないでしょう。

いつでも前向きでいるのは難しいですが,意識することはできます。自分のやりたいことの実現に向けて味方を得るためにも,積極的に,明るく,前向きな態度は心掛けたいと思います。

近道はないが,王道はある

他人と比較し続け,お金ばかりを行動基準に据えた「祐介」の人生が不毛なものと断じるつもりはありません。それはそれで幸せな瞬間も多い人生でしょう。しかし,本当はアグレッシブに挑戦できたのではないかと後悔するのは一度きりの人生においては悲しいことです。

自分にとって満足な人生を送るために近道はないかもしれません。心を乱されやすい20代を歩む今ですが,私も前向きな発信を心掛けます。日々の積み重ねから,将来が明るく幸せなものになりますように!

◆20代向けの本は以下もおすすめです。

20代で身につけたいお金観が簡単にまとまっている(書評:『20代にしておきたい17のこと』本田健,大和書房)
購入の経緯は書店の店頭。『10代にしておきたい17のこと』から『60代にしておきたい17のこと』の6冊が並んでいて,20代向け『20代にしておきたい17のこと』を買いました。 ...

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