2022年に入ってから株価は下落基調です。5月20日にはS&P500指数は年初来で-18.6%になりました。
週足ではこの7週間は続落しています。そんなに続けて下落していることはブロガーのりんりさんのツイートで知りましたが、これは珍しいことだそうです。
【歴史的な記録】
S&P500は今週3%下落し、2001年以来の7週連続の下落。(1970年と2001年の8週連続が過去最長)
ダウは8週連続で下落。1932年以来の最長記録。
10年後、若手投資家に話すネタがまた一つ増えましたね(笑)
どうせ未来ではいい思い出。楽しくいきましょうhttps://t.co/4sPj2hMZrY
— りんり@バンガードS&P500ETF(VOO) (@SandP500ETF) May 20, 2022
さて、上昇相場と下落相場では気分が異なりますよね。Twitterのいろいろな発信を見ていてもそう感じます。
ほんと、株価が上昇傾向か下落傾向かでTwitterの雰囲気でまったく違う。投資と感情を切り離すのは難しいよねー。
— なまずん🐟20代からインデックス投資 (@gameoftheweak) May 14, 2022
最近は威勢のよい声はあまり聞こえなくなりました。
感情で投資判断を下すのは避けたい
ツイートについての補足ですが、これは「投資で感情を乱されてはいけない」という意味ではありません。もちろん乱されないほうが良いでしょうが、まったく乱されないのはなかなか難しいです。
健康を害さない程度であれば、感情に揺さぶられても問題ないでしょうね。
問題になるのは「投資判断」が感情に影響されたときです。とくに、衝動的に必要のない売買をしてしまうような場合です。単に「必要ない」程度で済めばよいですが、高値で買って安値で売るような行動にもなりやすいです。
私も運用規模がだんだん大きくなるにつれて、1日で月給分くらいが動く日も出てきました。感情がゼロというわけにはいきません。
冷静に継続していくための工夫
一方で、私の投資判断については感情に揺さぶられる状態にはありません。これまでの上昇相場でも下落相場でもペースを保ってきています。
ここでは、そのためにどんなことを続けてきたかを3つ、簡単に振り返ってみます。
戦略の拠りどころとなる本を読む
なにも考えずに他人のまねをしたり、その時々で儲かりそうな投資対象にお金を投入するという方法もあります。しかし、そのような方法でうまくいった例は多くはありません。
投資戦略を考えるうえでは、①妥当な理由が十分に研究されていて、②実践してうまくいった人が実際に多くいるという両方が重要だと私は考えています。
理論と実践から時の試練に耐えてきた手法ということですね。
私は売買を繰り返すのではなく、インデックスファンドを積立購入して保有し続ける戦略で運用しています。これは①も②も満たしています。
また、長きにわたって大きな金額を投入する拠りどころとするのですから、時を超えて読みつがれてきた本の教えを指針にするように心がけています。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』と並ぶ名著が『敗者のゲーム』。最新版は買いやすい価格になりました。主張は上の2つとほぼ同じです。
海外の本が多いので、日本でも実践してきた人の本も合わせて読みました。税制が異なるので、翻訳書の前に日本人の本を読んでもよいかもしれません。
運用の指針が強固であるかどうかはとても大事です。どんな方法でやるにせよ、理屈と実践の両方から納得して取り入れるようにしましょう。
相場が崩れてきたときに読み返すのもオススメです。
そもそも投資金額は暴落でも生活に影響しない範囲に
そもそも論ですが、「積立購入して保有し続ける」手法は急落からは逃れようがありません。これはこの運用手法の特性です。したがって重要なのは「急落を受け入れる余地のある運用を徹底する」ということです。
分散が効いている「全世界株式」でも、ときに-50%の暴落に見舞われるようなことがあります。下がって数年にわたってなかなか回復しない……といったこともありえます。
数十年の視点で見れば、株価は世界経済の拡大にしたがって上がっていくと期待できますが、数年単位ではそこから大きく外れることも多いです。
近いうちに必要になるお金は運用から切り分けたり、運用する場合は半分以下になった状態で支払っても将来の生活に影響しない程度にとどめたりしたほうがよいでしょう。
たとえ暴落しても当面の生活に影響がなければ、感情が揺さぶられたとしても投資判断を狂わせる必要がありません。
下がったといってもいまは20%くらいですから、これで耐えがたい状態になっているようであればその方法は見直したほうがよいと思います。20%程度の下落は投資5年目の私でさえ2回経験しています。
将来の自分に今の行動が「感謝されそうか」を考える
私は長期運用で資産を作れればよいと考えているので、判断をする場合は必ず長期的な目線で考えるようにしています。といっても何も枠組みがないと難しいので、「長期的な目線」を「30年後の自分」という見方に置き換えています。
株を売りたい・買いたいと思ったときには「30年後の自分がこの行動を良かったと思えるかどうか」と考えるようにしています。
30年後の自分に申し訳が立たないような売買ではなく、感謝されるような行動をとってみましょう。こうすると自分で自分を客観視できるのでオススメです。
なお、株に限らず、他の資産を買うときや、やや大きな買い物をするときにも同じことを考えることが多いです。
◆上昇相場のなかでも似たような記事を書いています。こちらもご参考に。
心理が行動に及ぼす影響を知ってみよう
分けて考えるのが難しい人は、そもそも感情が発生しないようにするのが次善の策でしょう。証券口座にログインするのをやめたり、株価情報を遮断したりする方法があります。
下落相場になるとこのようなやり方もTwitterで発信する人が増えますね。確認するまでは含み損があるかどうかわかりません。戦略的ではないにしても戦術としてはありでしょう。
上昇相場に比べて下落相場で感情を揺さぶられやすいのは、行動経済学のプロスペクト理論で説明できます。
いろいろな本がありますが、私が気に入っているのはこのダニエル・カーネマンの本です。ノーベル経済学賞を受賞した本人が書いた1冊です。プロスペクト理論はもとより、行動経済学の概略を知るうえでおすすめです。
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